企業を経営している方の中には、思うように業績が上がらず、融資返済できるほどの余裕がないという方も大勢いるかと思います。
業績がうまくいっている企業でも、毎月予想通りの経営状態が保てることを約束されている訳ではありません。
実際に、このコラムをお読みの方の中にも、返済金の支払いでお困りの方も多いと思います。
そこで、本日はいざというときの救世主「リスケ」に関してご紹介したいと思います。
そもそも「リスケ」とは?
「リスケ」とは「リスケジューリング」を意味し、銀行の同意を得たうえで返済条件を組みなおすことを意味します。
銀行に無断で一方的に行う「延滞」とは違い、「リスケ」は銀行に同意を得た上で行うので、その後の協力が得やすくなります。
また、銀行融資の返済金を商工ローンなどで充てるとそのローンの返済金で経営が圧迫されやすくなりますが、「リスケ」を行えば、返済スケジュールを変更するだけなので経営を立て直しやすくなります。
「リスケ」するには?
銀行に「リスケ」の申し込みを行う際は、以下の書類を揃える必要があります。
1 返済条件変更申込書
企業が銀行に対して変更したい条件を具体的に説明する書類になります。
A4用紙1~2枚程度に返済条件の変更内容、返済の変更希望日、返済条件を変更する理由などを簡潔にまとめて記載しましょう。
銀行に対する謝罪の言葉も記載すると、丁寧な印象があります。
2 経営改善計画書
銀行にリスケジュールを承諾してもらうために、今後どのように経営を改善するかを説明する書類になります。
また、いち早く経営を改善し、具体的にどのくらいの金額を融資の返済に充てられるかを説明しましょう。
3 資金繰り表
リスケジュールを行う場合と行わない場合とを比較して、今後の2~3年の資金繰りの予想を示します。
リスケを行うことにより、今後あなたの企業の資金繰りが改善され、資金不足が解消されることを銀行側に説明しましょう。
リスケを行う際には、必ず返済日より数日前までに銀行に申し込むようにしましょう。
期日よりも前に申し込むことで、銀行への負担も減りますし、あなたの企業に対する印象もぐんと変わります。
また、複数の銀行から融資を受けている場合は、融資を受けているすべての銀行に対して「リスケ」を申し込むことになります。
一つの銀行に対してのみ「リスケ」を行ったり、優先して返済を行うと、異なる問題が派生する危険性があるので、注意しましょう。
「リスケ」した後のこと
当たり前のことではありますが、リスケは会社の経営の傾きを立て直すための方法の一つではありますが、立て直しを約束するものではありません。
また、返済日の変更を申し込むのですから、銀行に対する信用を大きく損なう恐れもがあります。
「リスケ」を申し込んだ場合は、費用の節約や企業内の改善を通していち早く融資を通常通り返済できる状態に戻すことが最重要となります。
また、そうすることで銀行に対しての印象も違ってきます。
「リスケ」をする前に注意!普段から出来る大事なこと
「リスケ」はネガティブなイメージが多いですが、実は多くの中小企業が申し込んでおり、決して恥ずかしいことではありません。
しかし、少しでも返済が無理だと感じたら、安易に「リスケ」を申し込む前に早いうちからお近くの税理士事務所などで相談することをお勧めします。
また、試算表や資金繰り表をつけるなどして資金繰りに困らないような健全な経営体制を維持することが何よりも重要だということを忘れないでください。
そうするためにも、普段から経営状態や財務状況に関して気軽に相談できるような、地元の銀行融資や企業経営を熟知したかかりつけの「税理士」を見つけておくといいでしょう。