じつは狙い目! 求める人材を獲得しやすい特化型ハローワーク

職業を紹介する公共職業安定所、通称ハローワークは、全国に500カ所以上あり、多くの求職者と事業者が利用しています。
さまざまな業種や希望条件で職探しをできる機関ですが、近年では、子育て中の女性を主な対象にした『マザーズハローワーク』や、35歳以下の若者を主な対象にした『わかものハローワーク』など、特定の層に特化したハローワークも設置されています。
そこで今回は、対象者にとって仕事が探しやすく、事業者にとっては求める人材を獲得しやすい、特化型ハローワークについて紹介します。

【高齢者と子育て世代を支援するハローワーク】
正社員やパート・アルバイトなどさまざまな雇用形態の求人があるハローワークでは、求職者のニーズに合わせたサービスを提供するため、より専門的な相談ができる窓口も設けられています。

たとえば、全国500カ所以上あるうちの約300カ所(2021年4月27日現在)のハローワークには、特に65歳以上に向けた再就職支援のための『生涯現役支援窓口』が設置されており、高齢者の就職の促進に取り組んでいます。
生涯現役支援窓口では、企業側に対しても高齢者の雇用確保措置の導入に向けた相談の受付や指導を実施しており、たとえば社内の定年の引き上げや廃止、継続雇用制度の導入などを考えている企業を支援する体制が構築されています。

また、2016年には、福岡労働局と北九州市が連携し、50歳以上の中高年齢者を対象に就労支援を行う『シニア・ハローワーク戸畑』を開設しました。
そして2021年3月には、福岡県福岡市で全国2件目となる『シニア・ハローワークふくおか』が開設され、シニア層に向けた職業の紹介や求人情報の提供、さらには、ライフプランに関する相談会なども行われています。
これらの動きは、シニア世代の再就職の増加により、シニア層に特化した支援のニーズが高まっている現状を受けたものだと考えられます。

また、主要都市を中心に設置されている『マザーズハローワーク』、全国183カ所(2021年3月13日現在)のハローワークに設置されている『マザーズコーナー』では、母子家庭の母親、父子家庭の父親を含む子育て中の人を対象に就職活動をサポートしています。
施設内には子ども連れでも来所しやすいようにキッズコーナーや授乳室などが併設されていたり、保育所等の子育て支援情報の提供なども行っています。

企業側としても、子育て中の求職者に対し、子育て中の人でも働きやすい環境をアピールした求人を出すことで、応募者の増加が期待できますし、特に子どもを持つ親の視点を求めている企業にとっては有効な方法だといえるでしょう。

シングルマザーやシングルファザーを雇用するなど一定の条件を満たせば、特定就職者雇用開発助成金や両立支援等助成金などを受けることもできるため、積極的にマザーズハローワークやマザーズコーナーを活用する企業も増えてきています。

【希望する人材に合わせた採用活動を】
地域や年齢など特定の条件の求職者に特化したハローワークは、ほかにもあります。

『わかものハローワーク』は、おおむね35歳未満の正社員を目指す若者を対象とした求人情報の提供や就職相談を行っており、対象者は職業適性検査や就職に役立つセミナーなどを受けることができます。
わかものハローワークは全国に25カ所(2021年4月1日現在)ありますが、『わかもの支援コーナー』と『わかもの支援窓口』を設けているハローワークもたくさんあります。

各施設では社会経験が少ない若者に求人が紹介されるため、企業がわかものハローワークで求人を募集する場合は、未経験者の受け入れ体制を構築しておくとよいでしょう。

ほかにも、『ふるさとハローワーク(地域職業相談室)』は、ハローワークが設置されていない市町村にあり、求人情報の提供や就職相談等を行っています。
地元で働きたいという人にとって利用しやすい施設でもあるため、地域に根付いた営業活動を目指す企業にとっては、利用しやすい機関だといえます。

さらに、卒業後まだ就職が決まっていない人や、大学や専門学校などへ通っている学生や、これらの学校を卒業した人を対象とした『新卒応援ハローワーク』や、おおむね35歳から55歳の就職氷河期世代の就職支援に特化した『就職氷河期世代専門窓口』なども、全国のハローワークに設置されています。
就職氷河期世代専門窓口は、専門担当者による就職支援チームを結成し、求人側と求職側双方を就職後の定着まで支援していくもので、企業にとっても頼もしい存在であるといえるでしょう。

高齢者、子育て中の女性、若者と、それぞれ支援対象の異なるハローワークがあることで、求職者も仕事を探しやすくなってきているといえます。
企業側にとっても、各特化型ハローワークを通じて募集することで、マッチングの確率をあげられるのではないでしょうか。

自社が求める人材に絞った採用活動を行い、よりよい人材を獲得していきましょう。

※本記事の記載内容は、2021年5月現在の法令・情報等に基づいています。