銀行からの「格付」に注意!融資を受けやすい会社と受けにくい会社の違い

銀行が企業につける「格付」をご存知でしょうか?融資について少し調べたことのある方なら、一度は耳にしたことがあるかと思います。

しかし格付の根拠や、格付が融資に及ぼす影響、また格付を上げる具体的な方法について知っている経営者は少ないように思います。

ここでは、そんな格付について整理してまとめています。しっかり確認して、融資対策に役立てましょう。

目次

  • 1 銀行の格付評価のポイント
    • 1-1 定量評価
    • 1-2 定性評価
  • 2 銀行の格付の内容
    • 2-1 正常先
    • 2-2 要注意先
    • 2-3 要管理先
    • 2-4 破綻懸念先
    • 2-5 実質破綻先
    • 2-6 破綻先
  • 3 格付が融資に及ぼす影響
    • 3-1 融資の確率
    • 3-2 金利
    • 3-3 担保・保証
  • 4 格付を上げるには?
    • 4-1 財務状況を改善する
    • 4-2 内部留保を厚くする
  • 5 今回のまとめ

銀行の格付評価のポイント

定量評価

主に直近の決算書を見て、システム的に評価します。評価のしくみは各銀行によって差異はあるものの、基本的には以下の4点を数値化して分析します。

1 安全性
2 収益性
3 成長性
4 返済能力

安全性の評価には、「自己資本比率」や「流動比率」などが用いられます。収益性の評価には、「売上高経常利益率」や「総資本経営利益率」などが用いられます。

成長性の評価には、「売上高」や「経常利益増加率」などが用いられます。返済能力の評価には、「キャッシュフロー(営業利益 + 減価償却費)」などが用いられます。

定性評価

評価が難しいのがこの定性評価です。例えば「市場の成長性」や経営者の「経営能力」などが評価されます。

しかし、一般には定性評価で格付が大きく変更されることは少なく、やはり「売上高」や「経常利益」などの定量評価が重視されます。

銀行の格付の内容

1 正常先

業績が良好で、財務状況にも特段の問題がない企業の格付です。返済の延滞などもなく、経常利益が黒字で、累積損失がないなどの条件を

クリアすることが必要です。もし正常先であれば、銀行融資はかなり受けやすいと言えるでしょう。

2 要注意先

業績不振で決算書に何らかの問題がある企業の格付けです。返済に延滞が生じたりすると、正常先から要注意先に格下げされる要因となります。

自社の格付が正常先だと思っていても、「前期の経常利益が赤字」だったり「債務超過」に陥っていたり、「累積赤字」を抱えていると、要注意先に指定されている可能性が高いでしょう。

3 要管理先

要注意先の内、財務状況が悪い企業の格付です。例えば「3ヶ月以上の延滞」が続いていたり、「貸出条件の緩和」を行っている企業は、要管理先に指定されることになります。

4 破綻懸念先

現状で経営破綻はしていないが、経営難の状況にあり、今後経営破綻に陥る可能性があるとみなされる企業の格付です。「二期連続の債務超過」など、経営難を示す状況が続くとこの破綻懸念先に指定されることになります。

5 実質破綻先

法的には経営破綻にはなっていないものの、深刻な経営難で、再建の見通しが立っていない企業の格付です。営業所を廃止している場合など、実質的に営業を停止している企業などはこの実質破綻先に指定されることになります。

6 破綻先

法的に経営破綻している企業の格付です。経営破綻とは具体的には、倒産、精算、会社整理、会社更生などの手続きが開始されている状態です。また、手形の不渡りを出してしまった企業もこれにあてはまります。

格付が融資に及ぼす影響

融資の確率

基本的に、正常先に該当している企業であれば、通常の条件で融資を受けることができます。しかし要注意先として指定されると、銀行から新規の融資を取り付けるのは途端に難しくなります。

そして、要管理先以下に指定された場合は、まず融資は受けられないでしょう。融資を受けるには正常先をキープし続けることが何よりも重要なのです。

金利

例え融資を取り付けることができたとしても、正常先とそれ以外の格付では、金利に大きな差がつきます。また同じ正常先でも、より財務内容が良い方が金利は低く設定してもらえる可能性があります。

担保・保証

正常先企業の場合は、担保や保証をつけなくても借入できる可能性があります。要注意先以下の格付の場合は、担保や保証人を要求されることが普通です。

格付を上げるには?

格付を少しでも上げることが、融資の合否や借入条件を有利にするために重要だということがお分かりいただけたかと思います。では、どうすれば銀行からの格付を上げることができるのでしょうか。

財務状況を改善する

当然のことながら、売上・利益を増やして、財務状況を改善することが王道です。よく、利益を少なく抑えたり、会社に利益があまり残らないようにしている経営者を見かけますが、行き過ぎた節税は融資には不利に働きます。

日々の営業活動でしっかり利益を出して、堂々と税金を納める。これが継続できていれば、銀行の格付を心配することはないでしょう。

内部留保を厚くする

格付を上げるには「内部留保を厚くする」ことが基本です。確かに銀行融資では、社長が個人保証をして銀行から借入をしますので、社長の預金や不動産は融資に有利な気がします。

しかしだからと言って、過度な役員報酬を受け取って利益を圧縮するのは間違いだと言えるでしょう。どれだけ社長個人の資産が豊富でも、あくまで会社の業績が良くないと格付は上がりません。

格付が上がらなければ融資も受けづらくなり、たとえ融資を受けられても借入条件が悪くなります。やはり、しっかり利益を蓄積して内部留保を厚くしておくことが大事だと言えるのです。

今回のまとめ

銀行には「格付」があることを知る。
銀行の格付は6つに分類される。

1 正常先
2 要注意先
3 要管理先
4 破綻懸念先
5 実質破綻先
6 破綻先

格付を上げるには、財務状況を改善し、内部留保を厚くすること。
行き過ぎた節税や、過度な役員報酬は格付を下げる要因となることも。