資金調達のための「経営改善計画書」のテンプレートと作り方

前回は『資金繰り表』、前々回は『事業計画書』の必要性や作り方などについて解説してきましたが、今回は『経営改善計画書』です。資金繰り表や事業計画書は比較的耳にする機会の多い資料だと思いますが、果たして経営改善計画書についてご存知の方はどれほどいらっしゃるでしょうか?

上記2つに比べると少しマイナーな印象のある経営改善計画書、しかし実は、銀行との取引に関してある「決定的な役割」を持っているのです。今回はそんな経営改善計画書について解説していきます。

目次

    • 1 経営改善計画書とは?
      • 1-1 経営改善計画書を作るタイミング
      • 1-2 経営改善計画書の目的
    • 2 経営改善計画書の書き方
      • 2-1 課題と解決策
    • 3 経営改善計画書のメリット
    • 4 経営改善計画書のチェックリスト
      • 4-1 具体性
      • 4-2 現実性
      • 4-3 本気度
    • 5 改善案はどのようなものがあるのか

  • 7 まとめ

経営改善計画書とは?

経営改善計画書は、その名の通り経営の課題を解決していくための計画です。では一体「いつ」「何のために」作られる資料なのでしょうか?

経営改善計画書を作るタイミング

まず、経営改善計画書はいつ作るものなのでしょうか?それは、「課題が明らかになった時」です。具体的に言えば、「収益が悪化し銀行へこれまで通りに返済をすることが厳しいと思われる事態」が明らかになった時です。

経営改善計画書の目的

そもそも、経営改善計画書の目的は、以下の2つのいずれかである場合が大半です。

  • 1 銀行へ新規の融資を申し込むために必要
  • 2 銀行への返済についてリスケを求めるために必要

社内で経営改善計画書を作ってプランを実行するために使うことも無いとは言えませんが、ここで解説する経営改善計画書は、要するに「銀行」へ提出するためのものです。

経営改善計画書の書き方

資金繰り表などと同様、法律で定められた財務諸表ではないので、経営改善計画書には決められた書式はありません。銀行によっては「テンプレート」を用意している親切(?)な銀行もありますが、一般的にはフリースタイルで作成します。

とは言え、最低限必要な項目は存在します。それが「課題と解決策」です。

課題と解決策

課題と言われても、経営者としてはいつでも課題に取り組んでるわけですから、ピンとこない方も多いでしょう。

この資料で述べる課題とは、例えば「売上の低下」や「売掛金の回収が厳しくなった」など、「資金繰りの悪化につながる事態」のことです。

経営改善計画書のメリット

では、経営改善計画書を提出したらどんなメリットがあるのでしょうか?
もちろんケース・バイ・ケースではありますが、

  • 格下げ低下の防止
  • リスケに応じてもらえる

などの効果が期待できます。
しかし、もちろんどのような経営改善計画書でも良いというわけではありません。

経営改善計画書のチェックリスト

経営改善計画書は、どのような内容になっていなければならないのでしょうか?
見られるポイントは以下の3つです。

  • 1 具体性
  • 2 現実性
  • 3 本気度

1 具体性

まず具体性ですが、これが一番大切です。よくある経営改善計画書の悪い例として、「熱意だけで具体的な改善計画がない」というものがあります。

確かに熱意は大事ですが、あくまで「それでどうやって経営改善できるの?」という問いに答えることです。もし具体性に乏しい場合は効果が薄いどころか、かえってマイナスになる場合もあるので注意が必要です。

2 現実性

次に現実性ですが、これも重要です。例えば改善計画を立てたとしても、それであまりにも売上が伸びると予測されている場合、根拠に乏しいと説得力がありません。

収益を上げたい気持ちは分かりますが、将来の予測は厳しめに書くことが無難です。

3 本気度

最後に本気度ですが、これは目に見えないので伝えづらいポイントです。ではどうやって伝えるかというと、「自ら動く」ということです。たとえば「役員報酬」を減らしたり、経営者自らが営業に出向いたりと、本気度を伝えることはいくらでも方法があります。

それを計画に盛り込むことで、目に見えるようにすることが重要なのです。

改善案はどのようなものがあるのか

それでは、具体的な改善案とはどのようなものがあるのでしょうか?
いくつか事例を挙げてみますので参考にしてください。

  • 役員報酬の削減
  • 遊休資産の売却
  • ビジネスの選択と集中(事業売却・人員のリストラ)
  • サービス・製品の改良
  • 新規顧客の開拓
  • 仕入原価の削減
  • 家賃が高額な本社を移転
  • 給与制度の見直し

など

まとめ

経営改善計画書とは?

経営改善計画書は、その名の通り経営の課題を解決していくための計画を記した書類。

経営改善計画書の目的

・1 銀行へ新規の融資を申し込むために必要
・2 銀行への返済についてリスケを求めるために必要

経営改善計画書のメリット

・1 格下げ低下の防止
・2 リスケに応じてもらえる など

経営改善計画書のチェックリスト

・1 具体性
・2 現実性
・3 本気度

改善案はどのようなものがあるのか

・役員報酬の削減
・遊休資産の売却
・ビジネスの選択と集中(事業売却・人員のリストラ)
・サービス・製品の改良
・新規顧客の開拓
・仕入原価の削減
・家賃が高額な本社を移転
・給与制度の見直し
など

さいごに

できれば経営改善計画書を書かずに済むに越したことはありません。しかし、もし対策を打つべき課題が明確になった際には、いち早く経営改善計画書を作るようにして、銀行へも丁寧に説明をするように心がけましょう。

そうすることで、銀行からの評価を落とさないだけでなく、経営基盤の強化も達成できる可能性もあるのです。