銀行融資で最も重要視されるのは「資金使途」と「返済財源」だと言われます。実際にこれまで銀行などの金融機関から借入をした経験のある方は、必ずこの2つについて詳しく質問されることをご存知だと思います。
ではなぜ、資金使途と返済財源が重要視されるのでしょうか?それは銀行が「確実に回収したい」からに他なりません。あなたが銀行の融資担当だった場合、
- 何に使うかも分からない資金
- 返済できるか分からない資金
に融資したいと思うでしょうか?思わないはずです。しかし、一体どんな説明なら、銀行は納得するのでしょうか?今回は中でも迷う方の多い「資金使途」について解説します。
目次
- 1 資金使途とは?
- 1-1 設備資金とは?
- 1-2 運転資金とは?
- 2 運転資金の計算方法
- 3 運転資金の説明の仕方
- 3-1 前向きな説明を
- 3-2 必ず資金繰り表を添える
- 4 もし銀行に説明した資金使途と違う使い方をしたら?
- 5 まとめ
資金使途とは?
資金使途を簡単に説明すると、銀行から融資を受けた資金を何に使うか?ということです。大きく分けると「運転資金」と「設備資金」の2つに分けられます。
1 設備資金とは?
設備資金とは、その名の通り「機械や土地・建物などの設備」に使う資金のことです。工場の新設などの場合もこの設備資金になりますので、かなりの高額で長期的な借入が必要になってきます。
しかし、しっかりと「設備を導入した時に収益が増加する」ということを説明できれば、比較的融資を受けやすい資金使途だと言えます。
ただし、銀行の融資担当者の立場に立つと、「本当にその機械が必要なのか?最適な判断なのか?」ということまでは分かりません。専門用語などは使わずに、必要性を解りやすく説明することがコツです。
2 運転資金とは?
運転資金とは平たく言うと「日々の経営に必要な資金」のことです。設備の購入などではないため、比較的少額で短期的な借入となる場合が多いようです。しかし、必ずしも「少額だから借りやすい」ということではありません。
むしろ「収益が減ったから」とか「別の返済に回すため」などと説明しようものなら、「この会社に貸して大丈夫か?」と懸念を持たれてしまうことも。説明の仕方には十分な注意が必要なのです。
運転資金の計算方法
前節ではザックリと運転資金を説明しましたが、実は算定式がきちんとあります。
- 「売掛金+受取手形+在庫-支払手形-買掛金」
というものです。要するに、「一時的な資金需要」を求めることで、運転資金が正確にはじき出せるのです。
運転資金の説明の仕方
設備資金に関しては、その設備を導入することでいかに会社の「生産性が向上するか」を説明できれば基本的には十分です。もちろん細かく説明していくこともできればなお良いでしょうが、銀行の担当者に必要以上の設備の説明をする必要はないでしょう。
しかし、運転資金については説明する際に何点かのポイントを押さえておく必要があります。同じことを伝えるにも、説明の仕方一つで融資が通る場合と通らない場合があるのです。
1前向きな説明を
まず何よりも大事なポイントと言っていいのが、この「前向き」な説明だということです。
例えば
- 新規顧客の開拓のための資金
- 新たな人材を雇うための資金
- 販促活動に使うための資金
などです。
間違っても「売上が下がって返済が厳しくなりそうなのでお金を借りたい」などと後ろ向きな発言は厳禁です。確かに事実としてそのような場合もあるかもしれません。しかし、どんな逆境でも必ず前向きに建て直していける希望はあるはずです。
たとえとても難しいチャレンジだったとしても、まずは前向きな資金使途を検討してみてください。ちなみに、売上が増加することが原因による一時的な資金需要を「増加運転資金」などと言いますが、このような前向きで将来の収益につながる説明が、銀行側としては融資しやすいのです。
2必ず資金繰り表を添える
このコラムでも『資金繰り表』の重要性は説明してきましたが、もちろん運転資金を借り入れる時にもそれは変わりません。というよりも、むしろ「資金繰り表がなければ貸してもらえない」と断言してもいいくらい、重要なのです。
たとえ運転資金で前向きな説明を組み立てても、数字に落とし込めていなければ信憑性が薄まります。しかも銀行は、稟議書を通していくことで融資が決まります。そのためには「書類」として渡しておくことが大事なポイントなのです。資金繰り表を使いながら前向きな説明をすることで、融資を獲得できるチャンスは一気に上がります。
もし銀行に説明した資金使途と違う使い方をしたら?
最後に、もし融資の際に銀行に説明した資金使途と違う使い方をした場合にどうなるかをご説明します。まず常識的に考えて「嘘」は良くないですよね。当然銀行からの信頼もなくします。銀行融資の場合は「資金使途違反」と呼ばれる違反行為になります。
たとえ悪気がなかったとしても、説明していた資金使途と違う目的に使ったというのが事実であれば、よほどの場合でない限り、まず追加の融資は難しいでしょう。もし悪質だと思われた場合には、銀行によっては「即時全額返済」を求められることもあるらしいのです。「バレないから」と言って資金使途と違う目的で使うことは、決しておすすめできません。
まとめ
銀行融資で最も重要視されるのは「資金使途」と「返済財源」の2つ。
資金使途を大きく分けると「運転資金」と「設備資金」の2つに分けられる。
設備資金とは、その名の通り「機械や土地・建物などの設備」に使う資金のこと。
運転資金とは平たく言うと「日々の経営に必要な資金」のこと。
運転資金の計算方法
「売掛金+受取手形+在庫-支払手形-買掛金」
運転資金の説明の仕方
1 前向きな説明を
2 必ず資金繰り表を添える
もし銀行に説明した資金使途と違う使い方をしたら、銀行融資の場合は「資金使途違反」と呼ばれる違反行為になる。追加の融資は難しい。もし悪質だと思われた場合には、銀行によっては「即時全額返済」を求められることもある。