税理士事務所と会計士事務所の違いと会計士事務所と顧問契約を結ぶ意義

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会社を経営している方なら、経理や財務に関して悩みを抱えることも多いのではないでしょうか。

そんな時、専門の事務所にお願いしたいと思う方も多いかもしれません。

そこで思いつくのが税理士事務所や会計士事務所だと思いますが、一体どちらに依頼したらいいのかわからない、そんな方が沢山いると思います。

今日は、会計士事務所と税理士事務所の違いについて、また会計士事務所の仕事内容などに関して簡単にご説明いたします。

※このコラムでは「会計士」という言葉を利用していますが、ここでは「公認会計士」を指しています。

1.そもそも「会計」って?一から分かる会社内の会計の仕組み

私たちの周りでは様々なおカネが回って社会が動いています。

毎月、お給料日には賃金を受け取り、その賃金を利用して家賃を払ったり、買い物したり旅行に行ったりします。これは会社内においても同じです。

自社の商品を売ったり、他社から材料を買ったり、日々何かと引き換えにお金が動いています。

会計にはまず、この基本的な「物と引き換えにお金を受け取る」という関係があるということを抑えておきましょう。

①実は簡単!「会計」という言葉の意味

会計という言葉を聞くと、何だか堅苦しいイメージがありますが、私たちの身近にはたくさん会計があります。

たとえば、飲食店で支払いをするときに「お会計してください」と言ったりしますよね。

実は、会計とはざっくり言うと金銭の出納を記録したり、計算したりすることを意味します。

会社を経営する上で、自社の製品をお金と交換する際に、お金のやり取りを記録することは基本です。

②会社の会計の種類-経理と財務

まず、会社を経営する上で必要なのは、どのようにお金が流れているかを把握することです。

会社内外で流れているお金を、貸借対照表(B/S)や損益計算表(P/L)さらにはキャッシュ・フロー計算書(C/S)などの書類にまとめることは経理と言います。

企業の資金を調達したり、予算を管理したり、資金運用などを行って、会社の未来のためのお金を動かすことは財務と言います。

③管理会計と財務会計

会社を経営する上でさらに必要になってくるのが、管理会計と財務会計というものです。

管理会計とは、「管理」という言葉が表している通り会社内で、会社を管理していくために必要な金銭的な情報をまとめることを指します。

財務会計とは、四半期や半期、一年単位で会社の売り上げや純利益などを記す決算書などのように、会社内外に向けて情報をまとめることを指します。

会社を経営し、商品やサービスと引き換えにお金を受け取り、生産活動などを行っている以上、どうしても「会計」は必要になります。

また、これらの会計をきちんと管理することで、その会社の問題点や、抱えているリスクへの対処法を練ることが出来ます。

聞いてもあまりピンと来ない「会計」ですが、会社にとってはとても重要なものなのです。

2.そもそも税理士事務所って?簡単な税理士の仕事紹介

先ほどは、簡単に会計の概念のお話をしました。

ここで、街中でよく見る会計士事務所と税理士事務所、似たような印象がありますが、何が違うのか見ていきましょう。

①税理士は「税」を取り扱うお仕事

その名の通り、「税理士」は「税」をメインに取り扱うお仕事です。

私たちが社会の一員として暮らしていく中で、「税」は必要なものです。

日々、買い物をするときには「消費税」を払い、また所得を受け取れば所得税を払う必要があります。

また、日本では「申告納税制度」が取られており、一部の税金は自らが税務署に赴いて確定、申告して納める必要があります。

この際、この人に代わり税額を計算したり、確定申告を行ったり、税務署類の作成を行うのが税理士のお仕事です。

またこの際、会計帳簿の記帳代行などを行うこともあるため、税理士と会計士が混同されているのかもしれません。

②広がる税理士の業務内容―会計業務から融資獲得まで

2-①でも少し触れた通り、多くの税理士は税額の計算や税務書類の作成を行っているだけではありません。

企業から渡されたデータから税額の計算をするには、そのデータを整理することが必要です。

そこで、多くの税理士は普段から会計帳の記帳を代行したり、また計算資料の正確性を確認するために、作成過程で参与として参加したりしています。

さらに、税理士ならではの専門知識を活かして節税対策を練ったり、また金融関係者との幅広いネットワークを通して、会社を運営するために必要な融資を獲得するお手伝いなども行っています。

③税理士になるには?

このような活動を行う税理士ですが、税理士になるには国税庁が実施する税理士試験に合格するか、もしくは公認会計士か弁護士の資格を有する必要があります。

また、この税理士試験を受験するためにも、税理士事務所での2年以上の勤務経験や、大学で法律学や経済学などの履修経験などの資格が必要になるため、誰でもすぐに受験できる試験ではありません。

受験を希望さる方は、日本税理士会連合会(http://www.nichizeiren.or.jp/)や国税庁(https://www.nta.go.jp/)のホームページを確認することをお勧めします。

3.会計士事務所は何しているの?会計士事務所の仕事内容

2.では主に、税理士事務所や税理士のお仕事に関して説明しましたが、これからは会計士のお仕事に関して具体的にみてみましょう。

①会計士は会社を支える「会計」を監査するお仕事

税理士が「税」を扱うとすれば、会計士は独立した立場で会社の「会計」を監査するお仕事です。

具体的に言えば、1-②で紹介したような貸借対照表(B/S)や損益計算表(P/L)、キャッシュ・フロー計算書(C/S)などに不正がないか確認し、企業の公正な活動を支えています。

この他にも、「会計のエキスパート」として、会社の会計に係る幅広い業務を補助し、会社の公正な発展を支えています。

②税理士でも会計士のお仕事は出来るのでは?会計士ならではのお仕事

2-①と2-②で、税理士も会計業務を担うことがあるというお話をしました。

それだけ聞くと、会計関係の業務を行うのは税理士だけでいいのでは?と思う方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、税理士と会計士は担当するべき業務が根本的に違います。

税理士は税に関しての業務を専門的に行いますが、会計士は会計に関しての監査を中心に行います。

ただ、「監査」が義務付けられているのは上場企業や学校法人、独立行政法人などの組織に限られているため、これだけ聞くと税理士のように誰にとっても身近な存在には思えないかもしれません。

③そもそも「会計士」とは?その資格と種類

会計士になるためにも、税理士と同様に資格試験を受験する必要があります。

ただし、税理士は国税庁が管轄する一方で、会計士は金融庁の公認会計士・監査審査会が管轄しています。

また、税理士試験と異なり、試験を受けるための資格はありませんが、短答式試験と論文試験に合格したのち、2年間の実務経験や実務補修などを経て、日本公認会計士協会の修了考査に合格する必要があります。

これらの過程を終了すると、内閣総理大臣の確認を経て「公認会計士」として登録されます。

受験を希望される方は、公認会計士・監査審査会(http://www.fsa.go.jp/cpaaob/index.html)や日本公認会計士協会(http://www.hp.jicpa.or.jp/)のホームページを参照するといいでしょう。

4.会計士事務所と顧問契約を結ぶ意味は?

先ほどの3-②で、「監査」は上場企業や学校法人、独立行政法人などの一部の組織にのみ行われるというお話をしました。

そこまで聞くと、上場していない企業の方や、一般の方には会計士事務所はあまり関係ないと感じるかもしれません。

しかし、多くの会計士事務所は「監査」のみ行っているわけではありません。

税理士資格も併せて持っている会計士事務所も多く、税務に関しての業務から事業継承、記帳代行など会社の日々の会計業務からそのターニングポイントまで、幅広くサポートしています。

また、数多くの企業を見てきた経験から、経営コンサルタントや会社を設立する際のコンサルタントを請け負う事務所も数多くあります。

「会計士事務所」や「税理士事務所」と聞くと堅苦しいイメージがしますが、実際は身近にあると頼もしい「会社のお医者さん」のような存在なのです。

また、このような事務所は会社経営者の方を専門にしているわけではありません。

一人ひとりが納税している限り、このような事務所は私たち一人ひとりと関係しています。

一般の方でも納税に関して不安がある際、会社経営者なら社員数が少なく、経理や財務まで手が回らないなどの問題を抱えている際などに気軽に相談できる頼もしい存在なのです。

抱えていた不安などが払しょくされると、安心して業務に専念できると思います。

状況に合わせて気軽に相談し、いつでも信頼できる会計士事務所を見つけておくことは、会社を上手に運営するコツかもしれません。

5.まとめ

一言で「会計士事務所」や「税理士事務所」と言っても様々な業務があり、また得意とする業務も事務所によって異なります。

特にお金のやり取りを司る「会計」は会社の中枢と言っても過言ではありません。

だからこそ、色々な事務所を見た上で、いつでも頼れるパートナーとしての「会計士事務所」や「税理士事務所」を選んでみてください。