今回は、法人税の節税対策をお話ししたいと思います。
担当は、税理士事務所 TMコンサルティングの副所長の桒原(くわばら)です。
(1)短期前払費用
例えば、1年分の家賃を一括して支払った場合、本来はその事業年度までの期間に対
応する家賃のみが当期の経費であり、翌事業年度以降の期間に係る金額は「前払費用」
となり、支払った年度では経費処理ができません。
但し、税務上の「短期前払費用」では、このような前払費用で、支払った日から1年以内に役務提供を受けるものについて、支払った年度ですべて経費処理することも認められます。
<前払費用の定義>
・一定の契約に従って継続的に等質等量のサービス提供を受けるもの
※特定時期のCM 広告費、顧問料などは不可
・役務提供の対価であること
※物品購入や生産に対する前払は不可
・来期以降において時の経過により費用化されるものであること
・当期中に現実に支払済みであること
(具体例)
家賃、地代、借入金の利息、保険料などが対象となります。例えば、
1)6月決算法人が6月末に支払った7月分の家賃(前払による賃貸契約)
2)年払いの保険契約による保険料(1年分)の支払
(注意点)
1)契約内容に従った前払いである必要があります。月払契約の家賃を決算月に1年分
前払しても、認められません(年払契約への変更が必要)
2)1年を超える期間の費用を支出した場合、支出した年度に経費処理できないのは1
年を超える期間の部分ではなく、翌期以降に対応する部分すべてとなります
3)等質・等量のサービスという要件もポイント。サービス内容を吟味して適用可否を
検討する必要があります。
4)継続して毎期、この処理方法によること
(2)役員退職金を支給する
役員への退職金も不相当に高額なものについては、損金(経費)として認められず、不相当に高額かどうかは、その役員の在任期間、退職の事情、同業他社との比較で判断されます。
但し、実務的には、次の算式で計算した金額以内なら損金として問題ないと考えられます。
役員退職金支給額 = 最終報酬月額 × 勤続年数 × 功績倍率(※)
(※)功績倍率例
代表取締役 3.0 倍
取締役・監査役 1.5 倍
(例)代表取締役の場合
最終月額報酬 100 万円×勤続年数20 年×功績倍率3.0 = 退職金 6,000 万円
(3)生命保険を使った節税
【基本は3種類】
① 死亡保険(定期保険)
・死亡したら保険金が支払われる。
・基本的に保険期間に支払われる保険料は、掛け捨て(全額経費)です。
② 満期保険(年金保険・養老保険)
・満期がきたら保険金が支払われる。
・基本的に保険期間に支払われる保険料は、全額資産計上です。
③ 生死混在保険(福利厚生プランの養老保険)
・死亡しても満期がきても保険金が支払われる。
・支払われる保険料は、原則1/2 資産計上1/2 経費です。
【生命保険に加入する目的】
① 死亡保険(定期保険)
・代表者が死亡した場合、死亡保険金より会社借入金を返済するため
② 満期保険(年金保険・養老保険)
・満期返戻金・・・役員退職金に充当、設備などの購入
・解約返戻金・・・得意先の倒産など、いざという時のための準備資金
③ 生死混在保険(福利厚生プランの養老保険)
・従業員の退職金に充当
(4)商業・サービス業・農林水産業活性化税制
商業・サービス業・農林水産業活性化税制とは、青色申告書を提出する中小企業等で、経営改善に関する指導及び助言を受けたものが、平成31年3月31日までに、その指導及び助言を受けて行う店舗の改修等に伴い器具備品及び建物附属設備の取得等をして、指定事業の用に供した場合には、その取得価額の30%の特別償却又はその取得価額の7%の税額控除が選択適用できる制度です。
ただし、税額控除額は当期の法人税額の20%が限度となります。
※経営改善に関する指導及び助言とは、商工会議所、認定経営革新等支援機関等による
指導及び助言をいう。
(税理士事務所TMコンサルティングは認定経営革新等支援機関等に該当します。)
※対象資産は、器具備品は取得価額30万円以上、建物附属設備は取得価額60万円以上
となる。
※指定事業とは、卸売業、小売業、サービス業及び農林水産業(性風俗関連特殊営業及び
風俗営業に該当する一定の事業を除く)をいう。
※対象法人は、資本金の額等が3,000 万円以下の中小企業に限る。
第一回目は、以上となります。
節税対策でお悩みの場合は、税理士事務所 TMコンサルティングにご相談下さい。