【無借金経営】の4つのメリット、3つのリスク

無借金経営の画像

「なぜ銀行が融資してくれないのか?」

多くの中小企業の経営者さんが持つ悩みです。しかし、銀行の立場に立てば、いつでも誰にでも貸せるわけではありません。銀行も貸し倒れのリスクを慎重に見極めてから、貸すかどうかを判断しているためです。そうなると、財務状況が良好で信用力の高い会社から融資していきます。

ただ日本の会社の99.7%を占める中小企業では、まだ信用力が大企業のように高い会社は稀でしょう。では、中小企業が銀行から融資を受けやすくするためには、どのようなことに注意したら良いのでしょうか?また巷で語られるような”裏ワザ”的な方法は、本当に効果があるのでしょうか?

このブログでは、経営者さんが持つそのような「資金調達」のお悩みを解決するための具体的なノウハウや知識を、これまで私が税理士として実践の場で経験してきたことも含めて、解りやすくお伝えしていきます。

今回はまず、基本である「銀行へのアプローチ方法」を確認していきましょう。

目次

  • 1 融資を受けるのは当然のこと
  • 2 無借金経営のメリット
    • 2-1 利息を払う必要がない
    • 2-2 借金返済に追われない
    • 2-3 外部の企業からの信頼につながる
    • 2-4 精神的に楽
  • 3 無借金経営のデメリット
    • 3-1 急な資金需要が発生した時に対応できない
    • 3-2 金融機関からの信用を得られない
    • 3-3 経営者の規律が緩む
  • 4 借入を行うことの意義
    • 4-1 成長のチャンスをつかむ
    • 4-2 倒産のリスクを減らす
  • 5 今回のまとめ

融資を受けるのは当然のこと

事業を運営していくには「運転資金」や「設備資金」と呼ばれるような、経営をしていく上で必要な資金需要が常に存在します。それらを全て、自己資金だけで賄うのはまず難しいでしょう。経営者の中には「借金イコール悪」だという風に考えている方もいますが、それは大きな間違いです。

確かに個人の話では、借金が無いに越したことはありません。しかし企業経営では、借入をしない、いわゆる「無借金経営」は必ずしもお勧めはできません。

無借金経営のメリット

とは言え、無借金経営にもいくつかメリットがあります。まずは無借金経営にどのようなメリットがあるか確認しておきましょう。

1 利息を払う必要がない

銀行から融資を受けると、当然利息を払わなければなりません。しかし自己資金なら利息はタダです。

2 借金返済に追われない

借入金の返済は、経営者にとって常に頭を悩まされる問題です。うまくキャッシュフローが回っている時には良いのですが、そうでなければ返済資金の工面に追われることになります。

3 外部の企業からの信頼につながる

無借金経営をしているということで、「借金イコール悪」だと捉えている経営者さんから、信頼を獲得できます。

4 精神的に楽

何と言っても、無借金経営は気が楽です。「無借金経営が理想」だと思っている経営者の多くは、戦略的に有利だからではなく、どちらかと言えば精神的に楽になりたい、という動機が強いようです。

無借金経営のリスク

以上のようなメリットがあるにせよ、やはり無借金経営にはリスクがつきまといます。どのようなリスクがあり得るのでしょうか。

1 急な資金需要が発生した時に対応できない

成長のチャンスは突然訪れます。例えば、大手からの大型受注などです。その時にある程度の資金が手元にないと、速やかに投資できずに「売上獲得のチャンスを逸する」恐れがあります。つまり「機会損失」のリスクがあるのです。

2 金融機関からの信用を得られない

借入を行い、そして着実に返済していくことは、銀行との信頼関係を築くことにつながります。全く取引実績のない会社から突然借入の申込みをされても、銀行が確実に対応してくれるとは限りません。

むしろ急に窓口へ相談に行っても、業況悪化などを懸念されてしまいます。つまり「借りたい時に借りられない」というリスクがあるのです。

3 経営者の規律が緩む

借入金を毎月キチンと返済していくということは、企業側に常に緊張感が求められます。そのことによって財務規律が整うのは、決して悪いことではありません。

無借金経営をすることで規律を緩めることにつながり、経営の効率を落としてしまう可能性も指摘されています。

借入を行うことの意義

無借金経営のリスクを見てきましたが、最後に改めて、借入を行うことの意義を確認しておきましょう。

1 成長のチャンスをつかむ

無借金経営をしている企業は、手元にある自己資金の中でしか投資を行うことができません。大型案件の受注などのチャンスが訪れたとしても、そのための仕入れや設備投資などを行うことが難しくなります。

成長のチャンスをつかむためには、借りれらる内にある程度の融資を受けておき、訪れるチャンスを逃さないようにしておかなければなりません。

2 倒産のリスクを減らす

よく勘違いされるのですが、無借金経営には倒産のリスクがつきまといます。たとえば、売掛金の増加など、資金繰りが悪化してしまう事態がおきた時、バッファとしての現預金がなければ、会社は持ちません。

よく「黒字倒産」という言葉を耳にしますが、無借金経営を押し通した結果そうなるケースも多いのです。

今回のまとめ

やみくもに「無借金経営」を目指すことは、企業にとって非常にリスクが大きい。
大企業・中小企業に限らず、企業が銀行などの金融機関から融資してもらうのは、安定した企業経営をしていく上で、至極当たり前のこと。
なんとなく「無借金経営」を目指すのではなく、銀行融資など、適切な時期に適切な借入を行うことで、健全な経営を目指しましょう。