経営者の皆さん、突然ですが『事業計画書』を作っていますか?なんだか堅苦しい名称ですが、実は事業計画書に正式な書式というものは存在しません。また『定款』などのように作成が義務付けられているわけでもなく、あくまで自ら作るものです。
しかしこの事業計画書があるのとないのでは、銀行の融資に大きな差があるんです。今回はそんな事業計画書の目的と、事業計画書の作り方・活用方法についてご説明します。
目次
- 1 事業計画書の目的とは?
- 1-1 会社の方針を明確にする
- 1-2 第三者へ事業を説明する
- 1-3 銀行の融資を取り付ける
- 2 事業計画書に必要な項目
- 2-1 全体像の説明
- 2-2 事業内容
- 2-3 収支計画
- 2-4 資金計画
- 3 事業計画書のチェックポイント
- 3-1 分かりやすさ
- 3-2 整合性
- 3-3 客観性
- 3-4 現実性
- 5 熱意
- 4 事業計画書のテンプレート
- 5 今回のまとめ
事業計画書の目的とは?
繰り返しになりますが、事業計画書には作成を義務付けるする法律などはありません。つまり、事業計画書を作成するかどうかは、その企業が任意に決めることなのです。では事業計画書がないと何が問題なのでしょうか。
事業計画書の目的は、大きく分けて次の3つに分けられます。
- 1 会社の方針を明確にするため
- 2 第三者へ事業を説明するため
- 3 銀行の融資を取り付けるため
では、1つずつ見ていきましょう。
1 会社の方針を明確にする
まず第一に、経営者ご自身が会社をどの方角へ導いていくのか、それが事業計画書がないと不明確なままです。これは会社の経営に限りませんが、計画がなければどの方向へ進めばいいのか判断しようがありません。いくら頑張って日々仕事をしていても、指針があるのと暗闇の中を進むのでは大きく違いますよね。
もし事業計画書を作っていなければ、経営もいずれ行き詰まることになりかねません。事業計画書を作ることで、会社の進むべき方向が明確になり、自信をもって経営判断をすることができるのです。
また会社で働く社員たちにとっても、事業計画書があれば会社の進むべき方向を確認することができます。人間は、大きな目標がないとやりがいをもって働くことが難しいものです。事業計画書を作ることで社員に働く意味を持たせることができ、大きな視野で仕事に臨むことができるようになるのです。
2 第三者へ事業を説明する
事業計画書がなくても、『パンフレット』や『ホームページ』を使って会社の紹介をすることは可能です。しかし、いくら立派なホームページを作っても、説明できることは限られます。
また事業計画書では、事業の内容を説明することが目的ですが、パンフレットやホームページでは、どうしても会社の「宣伝」という目的に重きが置かれます。会社案内などの他の資料とは「目的」が異なるのです。
さらに事業計画書には、どのような人が読んでもその会社の事業を理解できるような「整合性」や「客観性」が求められます。ホームページを持っているからと言って、事業計画書を持たなくていいわけではないのです。
3 銀行の融資を取り付ける
意外に思われる方も多いのですが、事業計画書がないと銀行の融資はかなり厳しいと言えます。事業計画書は、今後どのように会社を経営していくかの基準となる資料です。もしこの基準がないとなると、融資をする側としては
「この会社に融資をしても大丈夫だろうか?」
「この経営者は経営をしていく能力を兼ね備えているのだろうか?」
と不安になります。ただし、いくら融資を受けたいからと言って、不合理な数字目標を立てても意味がありません。あくまで「数字と根拠」はセットで示す必要があるのです。
事業計画書に必要な項目
事業計画書が必要なのはわかった、でも事業計画書には何を書けばいいのだろうか…そう悩む方も多いと思います。しかしそう難しく考えることはありません。事業計画書には、最低限以下の項目を入れるようにしてください。
1 全体像の説明
- 経営理念・創業の目的・会社のビジョン
- 会社や経営者の略歴
2 事業内容
- 市場分析(規模・将来性)
- 自社分析(競合他社と比べての強み・弱み)
- 顧客分析(主なターゲットの持つニーズ)
- 商品/サービスの説明(他社との違い)
3 収支計画
- 売上計画
- 仕入計画
- 人事計画
4 資金計画
- 資金計画(運転資金・設備資金)
- 返済計画
事業計画書のチェックポイント
事業計画に必要な項目はわかりましたが、問題はしっかり効果を発揮させることです。
そのためには、以下のポイント。
1 分かりやすさ
自分はその業界のことを知り尽くしているため、ついつい専門用語や独特の言い回しを多用していませんか?もし分かりやすいかどうかを確認したい場合は、何も会社について知識を持っていない、友人やご家族に見ていただくと、改善のヒントを得られます。
2 整合性
いくら大きな売上計画を作ったとしても、そのための資金計画がなければ絵に描いた餅でしょう。全体の整合性が合わなければ、何度も書き直しをしていく必要があります。
3 客観性
ご自分や社員だけが使うものならいざしらず、銀行などの第三者が見ることを想定していないと、事業計画書とは言えません。自社で分析を行うと、どうしても市場の将来性などを大きく考えがちですが、あくまで客観的な視座に立って、誰もが納得するような計画に仕上げましょう。
4 現実性
事業計画書を作る際には、ネガティブなことばかりを書いても仕方ありません。ただし、その逆にあまりにもポジティブだと、見た人から「ご都合主義」だと判断されかねません。
やる気を持って事業に取り組むことは良いのですが、あくまで銀行などの他人が見ても現実味を感じるような計画にすることがコツなのです。
5 熱意
上記の4つのポイントは、これから事業計画書に取り組む方には少し難しく見えたかもしれません。しかし最初から完璧な計画なんてありえません。あえて断言するなら、事業計画書に一番大事なのは、事業に対する「熱意」です。
想いを込めた事業計画書が人の心を動かす。まずは手を動かして、一歩でもいいから書き始めてみましょう。
まとめ
・事業計画書の目的は、大きく分けて次の3つに分けられる
1 会社の方針を明確にする
2 第三者へ事業を説明する
3 銀行の融資を取り付ける
・事業計画書に必要な項目は次の4つ
1 全体像の説明
2 事業内容
3 収支計画
4 資金計画
・事業計画書の4つのチェックポイント
1 分かりやすさ
2 整合性
3 客観性
4 現実性
5 熱意